心の悩み相談でできることとできないことがある

最近心理カウンセリングや心理セラピーがだんだん世の中に知られるようになってきて、気軽に悩み相談できる場所があるんだということを知っていただけるようになってうれしいことなのですが、心の悩み相談をするうえで、みなさんに知っておいて欲しいことがあります。

私達心理セラピストにはできることと、できないことがあります。例えば、本人が心底望んでいないものをほら、望みのものでしょう、と押し付けることはできません。

セッションを成功させるために相手を優しく気持ちよくさせて問題の本質から目をそらさせて、心理セラピストに依存させることもしません。本人が問題だと思ってもいないのに無理やり引っ張り出して変えることもできません。

問題にフタをして見ないことにして逃げ切るための心理セラピーセッションをすることもできません。かえって悪化します。本人が苦しんでいるものの本質が他人の中にではなく自分の中に在るのだと気づいてもらうだけです。

そして、解決できる力や答えが本人の中にあり確信を持ってその心のカギを探すことを一緒にサポートしていく、そんな仕事なのです。心理セラピストが主体なのではなくあくまで心理セラピーを受ける本人が主体です。

もしそうでないとすれば、、どうなるのか?について次に述べます。

嫌な気持ちだけ感じないようになりたい?

私達セラピストは相手を変えて相手を思い通りにコントロールするのではなく、技術で人を変えるのが仕事ではありません。
本人ありきなのです。本人が今の現状をどう捉えて、そして、どうなりたいのか?が重要なのです。

たとえば、言いたいことが言えない、という問題を持っている場合は、じゃあ言いたいことが言えるようになれば解決なのか?といえばそうではないのです。大抵は言わないことで平和でいられるし、言わないことで自分が傷つかずに済むし、人と関わる恐怖を感じないで済むし、言いたいことを言わないことは本人にとってじつはいいことだらけです。

これをじつは二次利得と呼んで重要視しています。

問題は解決したくありません、だから何も感じないように楽にだけさせてください。恐怖を感じないようにしてください。
と、それはまるで、その問題っていいことがいっぱいあるんですけどね、ときどき嫌な気持ちになるから、その嫌な気持ちにならないようにしてください、と言っているようなもの。

では問題は解決しなくてもいいんだよね、ということなんですが、ご本人は解決したいといいます。でもその解決という意味が違うのですね。本当の問題は、言いたいことを言えるようになることではなく、ダメな私を普通の真人間にしてもらいたい、という意味だったりします。

その裏の真意を読み解き、整合性を突き合わせて、本当のあなたはどうなりたいのか?を最初は丁寧にお話しをしながら進めていくのです。問題を持っていても本当は困っていなかったりするのですから。

問題と言いながらもメリットがたくさんあるからその問題の状態を続けているのです。

現状は変えたくないけど苦しみだけを取り除いて欲しい

たとえば、こんなケースをみてみましょう。

母親から自立して自由になりたいけど、自分で生活していく自信がないから母親と父親にお金をもらって働かないでいる、親に頼って甘えていたらお金の心配がない、でも自由になりたい、自立したい、親にあれこれプライバシーを干渉されたくないでも、自立して責任を持ってしまったら親から面倒を見てもらえなくなる、だから、自立しないでいる今は楽は楽。でも親から自立していない自分はどこかだめじゃないか、と思う。だからこんな自分でいいのかと思うから変わりたい。。。

という場合。このようななケースの相談はよくあります。こういう場合、解決の方向性として本人が何を持って解決したと言えるのか?それがとても重要です。親からお金だけはもらいたいでも責任を取りたくないし甘えていたい、でも親からの支配はきついし逃れたい楽になりたい、という。

これはとても矛盾していますよね。親から支配される方がラクだから今現在、楽な方を選んでいるわけです。

人間は不快を避けて快を得ようとする生き物です。つまり、親からの支配や干渉や依存は嫌なんだけれども、一方で自分も依存していることで楽なんですね。依存していたいし楽だけど支配される嫌な感情だけ取り除いて欲しい、それ以外は変えたくないという本音が心の底に隠れているのを見逃しません。

そうなんです。二次利得とは本人の進みたいという気持ちに大きなブレーキをかけているものの正体なのです。リトリーブサイコセラピーでは、そこを丁寧に解説しながら問題の本質に迫っていきます。それだけに二時間以上かかることすらありますから、いかにこの二次利得という問題が重要なのか?がおわかりかと思います。

 

二次利得を手放して新しい選択をするか?そのままでいるか?

二次利得というものは本人にとってとてもやっかいなものです。なにしろ、利得「問題を抱えるメリット」ですから、本人にとってこの問題を持ちつつ、利得がある方が楽なわけですから、それはそれは葛藤します。

「いや~私は今のありのままで幸せなので~」と都合よく自分をごまかしながら解決を先送りしてみたり、痛みと向き合うことから逃げ出してしまったり、じつに多くの人が避けようとしてしまうのも事実。でもそれでも向き合うと決めた人しか前には進めません。

しかし、それも決めるのは残念ながら本人次第なのです。

問題を持っているメリットを自覚できてもそのメリットは保持したまま楽にだけさせてほしい、問題を解決したくないけど楽になりたい、は私達心理セラピストにはできません。そういうセッション契約の元にセッションを進めていったら、その人の問題が強化されて悪化してしまいます。

その問題を持つメリットを強化していく、そんなセッションをしていくことは私達プロとして絶対やってはいけないこと。しかし、どうしてもその問題を持つメリット(利得)を手放せないのであればじっと見守るしかないのです。

その結果、本人が他人や物に依存して自分を損なったり、自傷してみたり、自暴自棄になったとしてもそれを選ぶのは本人です。本人が選ぶのならば、その選択を尊重するしかありません。

今は痛くて向き合えない、そういうときもあるでしょう。
そういうときは私達は遠くから本人を見守るときです。

本人が幸せになると自分が決めること自分が主体的に解決すると決めなければ、山は動きません。
私たちは魔法使いではないのですから。

最後に悩んでいる方に向けてメッセージを送ります。

悩んでいる方へ

どうか自分を投げ出さないでください。
自分を幸せにするのは自分なんだということを忘れないでください。
自分の人生を簡単にあきらめないでください。

安易な薬などに逃げないでください。
安易な人間関係に安楽な方法や権威のある人にカンタンに依存しないでください。

なぐさめや同情を外に求めるのではなく、あなたは自分の心の内側に向かうのです。
そうすれば絶対に幸せになる道はあります!

あなたの中に解決のカギは必ずあります、
そのカギを本気で探したい!そう思ったときには私達を使ってください。きっとお役に立つことができるでしょう。

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