ある家庭のお話しです。
両親と娘の3人暮らし。母親と父親はいつも折り合いが悪く、
顔を合わせても会話もしないし、いつも口論が続きます。娘は母親からいつも父親の悪口を聞かされて育ちました。
やがて娘は成人したとたんに、
自分の意志で好きなことを選ぶことができず、
いつも誰かの指示待ちで正解を探し続け、
精神的に不安定になり過食と拒食を繰り返します。しかし、別にこの娘は両親からは虐待を受けたわけでもなく、
特に母親とは友達のように仲良しでした。でもなぜか精神的に不安定なのです。
いつも死にたい、が口癖。それはなぜ、、、
目次
夫婦問題の多くは「相手に変わってほしい」
家族問題で私が一番難しいと
感じるのはいつも夫婦の問題です。
どちらかが問題意識を持ったとしても相手を変えることはできません。
結局は夫婦問題の先にあるのは
相手を自分の思い通りにしたい
という思いが潜んでいたりするからです。
あのひとさえ変わってくれればいいのに。
私が楽になれるのに。。と。
結局、自分が相手とどうかかわっていくのか?
自分が生き方や感情の出し方や関わり方を変えると
相手が変わってくれる場合も多々ありますが、
相手を変えるために自分が変わります!
なーんてのはもっての外ですよね。
ではどうするか?
子どもを味方につけようとする
こんな場合は、
自分のことをわかってくれない夫と敵対する代わりに
子どもを自分の味方につけて
夫を非難し対立関係を構築する
という戦略を取りがちです。
そのために「私はいつも被害者で相手は加害者」
というポジションを確保しがちになります。
これたとえば、、
いつも我慢して耐えているお母さん、
辛そうな顔をしているお母さん、
嘆き悲しんでいるお母さん、
いつもひとりで孤独に頑張るお母さん、
そういう姿を見ると子どもはたまらず、
愛する母親を守るために母親の味方につこうとします。
そうやっていつしか子どもは母親の心のケアをする側に回り
親の愚痴や悲しみや嘆きを受け止める係となって
母親を崩壊させないように守るのです。
親が安心安全の基地として機能しないと重大な問題が
それをするということは、
健康的な親子関係がある意味崩れてしまい、
親が安心安全の基地として機能しない
という重大な意味を持ちます。
母親(父親)が安心安全の基地ではなく、
不安定になることが
子どもにとって重大な生命の危機を感じる
恐怖に相当すると言われているのは
幼少時に子どもにとって親という存在は
安心安全を与えてくれる存在であるからです。
自分の生命を保障し
居場所を与えられ、
お前は安心してここにいていいよ
という感覚を親から譲り受けます。
そうやって
自己肯定感
は徐々に育つのです。
親子逆転になってしまう理由
それが、間違って親と子の立場が逆転してしまうと
子どもが親のような立場になって
母親の悲しみを受け止めなぐさめつづけ、
母親の心が崩壊しないように
母親の喜ぶことを想像して先回りする。。
いつも常に、
母親が壊れないかどうか?を
見張り守らなければならないと
無意識に感じてしまい、
親から離れることに対する恐怖を増幅されます。
これは実際にあった話ですが、、、
母親が父親との不仲から不安定になってしまい、
いつも「死んでやる!」と自殺をほのめかしては
子どもたちを不安と恐怖と絶望に陥れることを
繰り返していました。
子ども達は母親を必死で見張り守るために
笑顔で喜ばせるためにいい子を演じていたために
自分を生きる意味がわからなくなってしまい、、
大人になってから精神不安定となりました。
よくあるケースです。
子は「親」を自分の中に取り込んで成長する
母親という存在、いえ、父親も、
子どもにとっては尊敬できる愛する対象であり、
将来の自分の生き方
ロールモデルになる存在です。
その夫婦という存在が家族の中心に居て、仲睦まじい姿を見せることは
子どもにとって子どもらしい気持ちを持ち、
人を愛することを学ぶことにもつながります。
私たちは皆、
両親を生き方のモデルとして
自分の心のなかに残像を刷り込んで
大人になっていくのです。
さっきの冒頭で書いた娘さんですが、
彼女は母親と仲良しを演じていましたが、
それは娘が無理をして合わせていただけでした。
その結果、いつも人の目を気にして
自分の意見が言えずに、
ダメな男とばかり付き合い、
自分をダメにするような人間関係ばかりで、
どこにいても周りを気にして
自分が役に立つように犠牲的に振る舞い、
自分の好きを選ぶこともできない、
そうして自分の生き方を見失って死にたい、
とうつになっていきました。
心理セラピーを受けて徐々に回復し、自己を取り戻して仕事に復帰し、
現在は結婚して幸せな結婚生活を送っています。
その両親とも距離を適度に置いた関係となり
親子関係は以前よりも別の形で良くなりました。
子を変えるよりも夫婦問題の見直し
このケースのように
子どもが家族の中心になってしまうと
親の葛藤を自分の心の中で引き受けてしまい、
子どもは大人になっても自分の人生がわからなくなって
自分を生きられずに苦しみます。
だから立派な子どもに育ってほしいのならば
子どもを変えようとするのではなく、
まずは夫婦関係を見直すことが先決なのです。
なぜなら子どもの問題解決には
家族が、家庭が、
安心安全の場であることが
1番の特効薬だから。
家族関係を修復するためには
子どもを変えるよりまずは夫婦問題を
見直してみることをお薦めしています。